(1)シャープの経営悪化の概要
- 液晶事業に巨額投資
- 液晶事業の過剰在庫
- シャープ経営陣の内紛が長期化
- シャープの財務悪化が止まらなくなる
- シャープの取引銀行がDESにより経営支援
- ホンハイに買収されることが2016年に決定
- 2016年3月期決算は債務超過になり東証二部に転落
シャープは、液晶事業に強みを持つ会社であったため、液晶テレビ事業に集中投資を行いました。シャープのテレビは、亀山ブランドとして高いシェアを獲得しましたが、堺工場への投資が致命的な失敗になっています。
シャープの経営陣は、前社長が社内で権力者として居座っていたため、社内闘争を繰り返してきたことが報道されています。シャープは、外資系企業に買収されることが決定しただけでなく、2016年3月期決算は債務超過になり東証二部に転落していますね。
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(2)シャープの銀行融資をDESにより不良債権処理
- シャープが経営悪化
- シャープが2000億円の転換社債を償還
- シャープの取引銀行が社債償還資金を新規融資
- シャープの取引銀行が銀行融資を優先株に転換した
- メガバンクはDESによりシャープの格付けを要管理先に引き下げ
みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行は、シャープの社債償還資金を新規融資しており、ラッキーなことに銀行に救済されて資金繰り破産しなかったということですね。シャープが、ここで経営再建に成功すればV字回復になるのですが、会長や社長だけでく顧問や相談役との主導権争いが深刻化しています。
シャープの業績悪化は、単独で業績改善できる見込がなくなったため、DESにより債権を優先株に転換する経営支援が行われています。DESは、銀行が格付けを強制的に要管理先に引き下げるルールになるため、みずほと三菱UFJは不良債権処理を行うことになります。
(3)シャープが経営再建に失敗
- DESによる経営支援
- シャープの赤字が継続している
- シャープの社内闘争が終わらない
- シャープの財務悪化が深刻化している
- シャープの債務超過が2016年3月期に発生した
シャープ社員は、優秀なエンジニアを多数抱えていると言われてきましたが、トップが無能であればどうしようもないでしょう。日本電産やアイリスオーヤマなど、シャープの優秀な社員は転職を続けており、自力の経営再建はどんどん難しくなっていきます。
シャープ経営陣は、ホンハイから買収提案を拒否して再建を目指してきましたが、会社の財務がどうしようもない位に悪化しています。シャープは、電機メーカーの中でも堅実な経営を続けていると言われてきましたが、10年程度で債務超過に転落していますね。
(4)みずほと三菱UFJで不良債権の対応に違い
- みずほ銀行 2015年3月末 融資残高3246億円
- 三菱東京UFJ銀行 2013年3月末 融資残高3183億円
- みずほ銀行の自己査定 要管理先として格付けに変化なし
- 三菱東京UFJ銀行の自己査定 破綻懸念先に格下げしている
- 三菱東京UFJ銀行は2016年3月決算に1000億円程度の不良再建処理
シャープは、ホンハイの買収により救済されるこことが発表されているため、出資が決まれば格上げの要因になります。ホンハイの格付けは、正常先の中でも優良企業に格付けされる財務水準のため、親会社調整によりシャープが格上げされるからです。
シャープの財務は、債務超過だけでなく赤字により経営悪化が続いているため、破綻懸念先として見なされても仕方がないです。三菱UFJは、シャープの格付けを破綻懸念先に格下げしており、ホンハイとの提携失敗可能性を織り込んだ保守的な見通しにしていますね。
(5)三菱UFJはシャープ格上げによる利益発生の可能性がある
- ホンハイがシャープ支援を継続
- ホンハイは財務良好な正常先である
- 親会社調整によりシャープ格上げの要因になる
- 三菱UFJの2016年3月期決算はシャープを格下げしなければ過去最高益だった
- 三菱UFJはシャープを格上げできれば2017年3月期に多額の貸倒引当金戻入が発生
三菱UFJフィナンシャルグループは、2016年3月期決算は減益決算になりましたが、シャープの格付けを要管理先にしていれば過去最高益になっていたでしょう。三菱UFJフィナンシャルグループが、シャープの不良債権を厳しく査定していたということは、2017年3月期決算の利益上乗せ要因になります。
破綻懸念先は、約7割の債権を貸倒引当金とするため、シャープを正常先に格上げできれば1000億円以上の利益が発生することになります。シャープの不良債権処理は、法的整理による破綻処理を行っていないうえに、経営支援を得られたため銀行の債権回収は成功したということですね。 スポンサードリンク
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