内部留保が儲からない理由

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日本企業は、内部留保の増加が続いているため、株主に自社株買いや増配するように指摘されています。過剰な内部留保は、投資資金が過剰になるため、株主に損失を与えることもありますね。


(1)内部留保は必要なのか

  1. 優良企業は利益が溜まる
  2. 日本企業は内部留保を溜め込んでいる
  3. アメリカ企業は内部留保を株主還元している
  4. 株主は株主還元に積極的な会社のほうが儲かる
日本企業は、株主還元が少ないことを批判されており、投資家のパフォーマンスが低下する理由になっています。内部留保は、過去の利益を蓄積してきたものであり、運転資金や工場設備など事業継続に必要不可欠なものも含まれています。

株主は、配当や自社株買いにより利益還元を受けることができるため、企業の内部留保は説明責任が重要になります。アメリカ企業は、数千億円から1兆円を超える自社株買い、連続増配をすることが標準的になっていますね。

投資家は、投資効率を複利で計算するため、内部留保を無駄なことに使えば損失を被ることになります。上場企業の中には、株主還元をしないことが原因になり、株価が下落することがあるため高値で買わないことが重要になりますね。
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(2)内部留保に失敗する使い道

  1. 有価証券に投資
  2. 設備投資の規模拡大
  3. M&Aの投資金額が拡大
内部留保は、会社が事業継続するために不可欠な資産も含まれるため、意味のないものを抱え込まないことが重要になります。日本企業は、ROEが低いことを批判されていますが、必要不可欠な内部留保が原因であれば株価が高すぎるということでしょう。

オーナー社長は、所有者と経営が同一であるため、株主の利益が自分の利益に繋がります。サラリーマン社長は、自社株の保有金額が非常に少ないため、内部留保を見栄に使うことがあります。

経団連会長などの業界団体会長は、世論の批判にさらされるだけでなく人材拠出によるコストもあるため、勲章を貰える以外にメリットはありません。大企業経営者は、無駄な内部留保を抱えすぎることになれば、無駄な投資により株主の利益を損なうことがよくありますね。

(3)有価証券に投資して自社株買いをしない

  1. 社債の金利2%が高金利
  2. 株主資本コスト平均6%
  3. 上場企業が資本コストを下回る社債に投資をする
  4. 上場企業がトヨタの元本保証新型株に金利0.5%から2%程度で積極投資
上場企業は、資金調達の手段が株式発行だけでなく、銀行借入や社債などによる資金調達ができます。株式のコストは、投資家が高いリスクの見返りを求めるため、社債による資金調達よりも高くなります。

社債発行は、新株発行よりも低コストによる資金調達のため、優良企業は社債による資金調達を行っています。株式は、資本コスト平均6%と言われているため、自社株買いを行うことにより株主に利益をもたらします。

マイナス金利が銀行に与える影響をまとめましたが、上場企業は信用力があるため、低金利により資金調達をすることができます。無駄な内部留保は、資本コストを無視した経営を行っているため、投資家から避けられる銘柄になります。

トヨタは、2015年に第1回AA型種類株式を発行していますが、キャッシュリッチ企業が大量の余剰現金で購入しています。上場企業の中には、社長がファイナンスのの素人レベルのため資本コストの期待利回りを理解できていないため、社長交代や株主還元重視に転換することにより株高になることもありますね。

(4)設備投資の規模拡大により大損害が発生

  1. 設備投資に財務規律が働きにくい
  2. シャープが堺の液晶パネル工場に巨額投資
  3. パナソニックが尼崎のプラズマパネル工場に巨額投資
  4. 新型巨大工場は稼働率が低下すれば減損損失が発生する
  5. 新型巨大工場は稼働率を上げる必要があるため大量在庫のリスクがある
設備投資は、会社の規模拡大のために重要になりますが、投資回収に失敗することもあります。成長投資は、競争力獲得のために不可欠な響きの言い言葉ですが、株主の利益にならないことはよくある話ですね。

手元資金が、豊富になれば経営規律が緩くなるため、設備投資の規模が巨額になります。シャープは、堺工場に1兆円規模の投資を進出企業も含めれば行っており、パナソニックは尼崎に1兆円の投資をして失敗しました。

新型巨大工場は、稼働率を上げなければ減価償却分の利益も回収できないため、生産能力を高くして在庫発生による損失も大きくなりやすいです。シャープ経営陣は、堺工場の液晶パネル生産を売れないのに増やしすぎため、巨額赤字により倒産寸前まで面子にこだわったため発生していますね。

(5)M&Aの投資金額が拡大して高値掴み

  1. 自社株買いは確実に株主還元できる
  2. 配当を増配すれば株主還元を増やせる
  3. M&Aは不確実であり失敗することが多い
  4. 東芝はアメリカの原発会社買収に失敗
  5. キリンはブラジルのビール会社買収に失敗
日本のマスコミは、大企業の海外M&Aを褒め称える傾向にありますが、無残な結果になることがよくあります。日本メーカーは、海外M&Aの成功事例が非常に少ないため、JTのような特殊業種以外は思い浮かびません。

投資銀行は、アドバイザリー手数料や為替手数料、社債や融資の手当てなどにより莫大な手数料を海外M&Aから獲得することができます。東芝やキリンビールは、海外M&Aに失敗して数千億円を吹っ飛ばしているため、金融機関や海外投資家を儲けさせただけになっています。

JTの経営戦略をまとめましたが、たばこは有名ブランドの価値が高いだけでなく、インフレや増税を値上げにより回収することが簡単です。たばこ業界のように、イノベーションが発生しにくい業界は、内部留保を最小限にできるため投資家に還元することができます。

投資家は、自社株買いや配当することのできた資金を失っているため、センスのない経営者の被害者になったということでしょう。株式購入は、投資は自己責任の原則があるため、株主を大事にしない会社の株は避けることが重要になります。

(6)投資家には複利の損失が発生する

株主は海外M&A失敗により莫大な被害

  1. のれん代や減価償却費を毎年計上している
  2. 海外M&Aは失敗した後にしばらくしてから減損処理
  3. 株主は海外M&Aに失敗したことにより複利で損失が発生

複利の損失が発生する

  1. 資本コストを6%として税金や借入金利を無視して投資したと仮定
  2. 5000億円を投資すれば300億円以上の利益を発生させなければならない
  3. 5000億円投資を3年後に全額減損処理すれば複利により約6000億円の損失になる
無駄な内部留保は、社長のモラルハザードによる無駄な投資に繋がりやすいため、株価が割安に放置されるのも当然でしょう。設備投資や海外M&Aによる失敗は、数年後に巨額の損失発表をしているため、株主には複利で莫大な損失が発生しているということですね。

日本企業は、株主資本コストを無視した経営をする会社が多いため、減損損失や海外買収により株主に負担を与えています。マスコミは、LIXELや日本板硝子など海外企業を巨額買収した会社を褒め称えますが、失敗ている会社だらけになっています。

パナソニックプラズマディスプレイ倒産の理由をまとめましたが、巨額の内部留保は、無謀な投資により消滅しています。無能な経営陣は、手元現金を無駄な投資に使うだけでなく、在庫により損失を拡大させることもあります。

設備投資や海外M&Aは、巨額の投資をした会社は、失敗することにより株価低迷が長引いています。内部留保の貯めすぎは、将来の先行きが不透明になる中で投資失敗のリスクを高めるため、たばこ会社のように株主還元を確実にしていく会社が株主利益を最大化するでしょうね。
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