ペトロブラス倒産の危機

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ペトロブラスは、ブラジル国営の石油会社ですが、原油暴落により倒産危機に転落しています。資源企業は、価格上昇の局面で巨額投資をしていますが、投資回収できずに倒産しそうですね。


(1)石油資源国の破綻

石油業界は、原油価格が1バレル100ドルから30ドルに暴落しているため、株価の暴落が止まらなくなっています。石油会社は、国営石油会社と民間石油会社が混在しており、資源国の財政に大きく貢献してきました。

日本は、サウジアラビアやUAEなどの中東から石油を輸入しているため、中東に石油が偏在しているイメージがあると思います。石油価格の値上がりは、ブラジルやベネズエラのような地域でも原油採掘を活発化させたため、中東以外の地域でも産油量が増加しました。

ブラジルは、ペトロブラスの海底油田発見により再国有化をしましたが、原油価格下落により裏目にでています。資源国は、石油や鉱石などの資源価格下落により、財政破綻の危機に転落している国が続出していますね。
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(2)ペトロブラスの国有化

  1. 2000年 ペトロブラスの民営化
  2. 2010年 ペトロブラスの再国有化
  3. ペトロブラスがブラジル沖に海底油田を発見
  4. ペトロブラスの調達先を国内優先するように決めた
  5. ブラジル政府が資源権益の利益を確保する思惑
  6. ペトロブラスから外資系企業が次々と撤退していった
ペトロブラスは、株価がゴミ株に転落しており、倒産することが既に折り込まれています。ペトロブラスは、エクソンモービルに匹敵するような石油企業に成長する可能性を注目されてきましたが、残念ながら資産売却のリストラを続けていますね。

ブラジルは、2000年にペトロブラスの民営化を行いましたが、ブラジル沖に超大型の海底油田を発掘したことを発表しました。ブラジル政府は、ブラジルの資源権益による利益が、海外に流れることを嫌がったため再国有化を強引に行っています。

ブラジル政府は、ペトロブラスの調達条件を厳しくしたため、外資系企業が取引から次々に撤退しました。ペトロブラスは、ブラジル国内から割高で低品質の部品を調達しただけでなく、原油価格の暴落と汚職により倒産寸前になったということですね。

(3)ペトロブラス金融の弱点

  1. 原油価格暴落により採掘コストが採算割れ
  2. ペトロブラスはブラジル沖の大型海底油田に投資
  3. ペトロブラスは海外からドル建ての資金調達を行っている
  4. ペトロブラスはブラジルレアル安によりドル建ての利益が目減りした
  5. ペトロブラスはブラジルレアル安により借入金の負担が重くなっている
ペトロブラスは、ブラジルの石油事業を独占しているため、採掘や精製だけでなく販売までを手がけています。ブラジルは、通貨の不安定な新興国であるため、原油安とレアル安のデメリットが経済崩壊に繋がりそうですね。

ペトロブラスは、ブラジル沖の超大型海底油田を発見したことにより、積極的な投資を行ってきました。ペトロブラスの資金調達は、再国有化のときの7兆円近い株式発行だけでなく、ドル建ての資金調達を金利が低いため行っています。

ペトロブラスの川中事業や川下事業は、ブラジルレアル建の利益は原油安により増加しますが、ドル高によりドル建利益は激減することになります。ペトロブラスは、原油価格暴落による採掘事業の採算悪化だけでなく、ブラジルレアル安により借入金の負担が重くなっているため倒産やデフォルトが見込まれていますね。

(4)新興国の資源関連企業は利益を残すことができない

  1. 資源価格値上がり 利益増加
  2. 資源価格値上がり 投資増加
  3. 資源国企業の投資 ドル建ての資金調達
  4. 資源国企業の投資 採算の悪い投資先の増加
  5. 資源価格値下がりの影響 高コスト投資の減損計上
  6. 資源国通貨値下がりの影響 ドル建ての債務負担が増加
新興国企業は、アメリカなどの金融緩和により資金調達をしやすくなったため、ドル建ての借金や社債発行を増やしてきました。新興国国債は、高金利のため融資金利も高くなるため、米ドル建ての負債のほうが資金調達をコストを減らすことができたからです。

世界の中央銀行は、リーマンショック後に金融緩和を続けてきたため、低格付け企業でも低金利の融資による資金調達ができました。ペトロブラスのような新興国企業は、利益を再投資しているだけでなく、ドル建ての融資による資金調達を行っています。

資源価格の値下がりは、高コストの新規投資をしていた案件の採算が悪化するため、お金をゴミ箱にすてたようなものです。資源関連の会社は、投資失敗と通貨安により、財務が倒産寸前まで悪化した会社が続出している結果なりました。

ペトロブラスは、2008年5月の株価が70ドルを超えており、石油会社としての将来性に期待されていました。ペトロブラスの倒産危機は、2016年1月の株価が3ドルまで暴落しているため、株式市場は倒産を折り込んでいることが分かりやすいですね。

(5)日本企業への影響

  1. ペトロブラスが投資計画を縮小
  2. ペトロブラスが汚職問題により発注停止
  3. 大手石油会社が海底油田探査を相次いで中止
  4. 造船大手はドリルシップを受注していたため損失計上
資源会社は、建設機械やプラント設備を大量に発注していたため、投資縮小の影響が広がっています。日本企業は、ブラジルの人口や経済の成長性に注目しており、現地企業にも投資を拡大してきました。

ペトロブラスは、海底油田探査用のドリルシップを発注しており、日本企業は現地企業に出資して受注を獲得しています。ブラジルは、ペトロブラスの汚職問題が大統領周辺にも及んでいるため、政治が大混乱して身動きがとれなくなっています。

資源国が破綻した理由を見れば、資源国への投資はカントリーリスクが高いため、自社株買いの方が投資成果は高くなります。日本企業は、BRICSや新興国という単語に踊らされており、無能な経営者が暴走して巨額損失の計上が続出しました。
川崎重工業やIHIなどの大手企業は、減損損失を計上しており、新興国投資のリスクが高いうえに利益計上の難しさを証明しています。ペトロブラスの倒産危機は、資源バブルが崩壊しただけでなく、新興国企業のドル建て融資は通貨安リスクが大きい事例になっていますね。
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