タカタ倒産の可能性

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タカタは、エアバッグのリコール問題により、数千億円の資金流出リスクが発生しています。タカタは、大手自動車メーカーからの取引打ち切りも発表されており、倒産危機が深刻化していますね。


(1)上場企業の倒産危機

上場企業は、知名度の高い大企業が多いうえに、高収入の安定が魅力的であると言われてきました。大企業は、事業規模が非常に大きいため、スキャンダルが発生すれば社会問題として大きく報じられています。

ワタミグループは、飲食店事業のためブランドイメージは重要ですが、ブラック企業として有名になっているため介護事業が解体に追い込まれました。フォルクスワーゲンは、世界最大の自動車会社でしたが、燃費不正を行っていた会社として環境に悪い車のイメージが定着しています。

三井住友建設は、横浜のマンション杭打ち問題が発覚しており、三井住友財閥系企業の信頼を破綻させました。上場企業は、ブランド力や企業規模を生かして多角化を進めていますが、リスクに見合わない利益しかない企業もあるということですね。
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(2)日本車メーカーがタカタのエアバッグを不採用

  1. 日本1位の自動車メーカー トヨタがタカタのエアバッグ不採用
  2. 日本2位の自動車メーカー ホンダがタカタのエアバッグ不採用
  3. 日本3位の自動車メーカー 日産がタカタのエアバッグ不採用
  4. マツダがタカタのエアバッグ不採用 トヨタと提携している
  5. 富士重工業がタカタのエアバッグ不採用 トヨタが出資している
  6. 三菱自動車がタカタのエアバッグ不採用 三菱グループが出資している
国産自動車ランキング2014比較評価をまとめましたが、日本メーカーは北米輸出が重要になっており、過去最高利益を達成する原動力になっています。タカタのエアバッグは、アメリカでの社会問題から大量リコールに発展しており、製品の信頼性は破綻しました。

日本の大手自動車メーカーは、タカタのエアバッグを新型モデルから採用しないことを発表しており、タカタの倒産危機が深刻になったということですね。タカタとホンダは、独立系優良メーカーとして少額出資にとどまっており、ホンダが依頼してエアバッグを共同開発した歴史があります。

ホンダは、タカタの倒産を覚悟して切り捨てたということのため、販売支援を受けられる見込がなくなったということでしょう。タカタは、エアバッグ市場の高シェアを獲得してきましたが、自動車メーカーは部品技術を蓄積しているため他社が代替できると判断したということですね。

(3)タカタはエアバッグに依存しているため倒産危機になる

  1. タカタの売上高ランキング1位 ホンダ
  2. タカタの売上高ランキング2位 VW
  3. タカタの売上高ランキング3位 GM
  4. タカタの売上高ランキング4位 ルノー日産
  5. タカタの売上高ランキング5位 FIATクライスラー
  6. 日系メーカーの売上高は約4割を占めている
  7. シートベルトの売上高2448億円 38.1%の主力製品
タカタの取引先について、2015年3月期決算説明会資料を参考にして、簡単に見てみましょう。タカタの主力製品は、エアバッグとシートベルトが売上高の7割を占めており、ステアリングを合わせれば9割近くになります。

タカタが倒産するポイントは、自動車部品への依存度が極めて高いため、自動車メーカーとの取引関係が極めて重要になります。タカタの売上高ランキングは、歴史的な経緯からホンダが1位になっており、日系メーカーに大きく依存していますね。

タカタのブランドイメージは、エアバッグリコール問題により破綻しているため、消費者や自動車メーカーの信頼がなくなりました。タカタは、大手自動車メーカーがエアバックの不採用を決断しているため、4割の売上高が消滅する倒産危機になっているということですね。

(4)タカタの業績は財務体質が良好だった

  1. タカタ2015年3月期売上高 6428億円
  2. タカタ2015年3月期営業利益 329億円
  3. タカタ2015年3月期経常利益 406億円
  4. タカタ2015年3月期当期純損失 295億円
  5. タカタ2015年3月期純資産1487億円 281億円減少
  6. タカタは有利子負債増加と現預金の減少が進んでいる
タカタの倒産は、リコール問題が早期収束するのであれば、問題ないというエコノミストもいました。タカタは、独立系のTier1メーカーとして、実質借金の良好な財務体質が有名だったからです。

タカタ2015年3月期決算は、リコール問題の費用計上が本格化しており、295億円の当期損失を計上しています。タカタの特別損失は、586億円を計上しているため、2年分以上の利益を吹っ飛ばしたということですね。

タカタの純資産は、1000億円以上あるだけでなく、実質無借金経営のため問題がないように見えます。タカタの財務体質は、有利子負債増加と現預金の減少が進んでいるため、急速に悪化して倒産を株式市場が織り込みつつありますね。

(5)タカタの借金増加と現金減少

タカタの有利子負債は長期比率が低下

  1. タカタの2013年3月期 短期有利子負債361億円
  2. タカタの2014年3月期 短期有利子負債254億円
  3. タカタの2015年3月期 短期有利子負債310億円
  4. タカタの2013年3月期 長期有利子負債521億円
  5. タカタの2014年3月期 長期有利子負債654億円
  6. タカタの2015年3月期 長期有利子負債552億円

タカタの現預金が急速に減少

  1. タカタの2013年3月期 現預金937億円
  2. タカタの2014年3月期 現預金1082億円
  3. タカタの2015年3月期 現金691億円
  4. タカタの2015年9月期 現金549億円
  5. タカタの2015年9月期 社債300億円
タカタの手元現金は、リコール問題により急速に減少しており、500億円以上が外部流出しました。タカタの決算説明会資料を見れば、長期有利子負債はそれほど減少しておらず、リコール問題により現金流出したことが分かりやすいでしょう。

タカタの長期有利子負債は、社債300億円が含まれており、長期返済のため資金繰りに影響は小さいでしょう。タカタの倒産危機は、新規社債による資金調達が困難になっているため、銀行借入れが資金調達の中心になります。

タカタの2015年3月期長期借入金252億円は、2015年9月期長期借入金283億円に増加しているため、銀行の支援姿勢に問題ないように見えるでしょう。自動車メーカーは、タカタの取引見直しを発表したため、随時見直しを行って担保設定や資金回収を進める可能性がでていますね。

(6)タカタはリコールや減損により債務超過のリスクがある

  1. タカタの罰金 米国は最大200億円
  2. タカタのリコール3000万台前後 数千億円規模
  3. タカタの米国訴訟対策費用 集団訴訟により巨額の費用
  4. タカタの収益低下 売上高の4割ならば2000億円の売上減少
  5. タカタの減損発生 新車の取引打ち切り 250億円固定資産の4割
  6. タカタの株主代表訴訟対による新規負担 1000億円以上株価下落
  7. タカタの経営支援は創業家の持株比率50%が大幅低下が条件になる
タカタは、罰金やリコールにより巨額の費用が発生するため、現金の大量流出が続く可能性があります。アメリカ当局は、タカタの罰金が最大200億円になるという見解を発表しており、リコールから逃れることはできないでしょう。

タカタのエアバッグは、世界シェアが20%前後3000万台前後対象になるという予測もあるため、1台1万円ならば3000億円になります。タカタは、アメリカ市場での集団訴訟による巨額の費用も見込まれるため、資金繰り破綻や債務超過のリスクが高まっていますね。

タカタは、日系大手自動車メーカーが取引打ち切りを発表しているため、巨額の売上減少が長期的に発生するでしょう。タカタの倒産危機は、大手優良企業が不祥事の対応を失敗すれば、信頼低下により倒産するということが分かりやすい事例ですね。
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