自社株買いに借金を使う理由

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自社株買いは、借金を使うことにより財務が悪化するため、倒産リスクを高めることになります。高配当銘柄は、配当利回りよりも借入利息が低いため、積極的に借金して自社株買いをしますね。


(1)自社株買いは株価が上昇する

  1. ROE=当期純利益÷自己資本
  2. ROE8%=100億円÷1250億円
  3. ROE10%=125億円÷1250億円 増益により達成
  4. ROE10%=100億円÷1000億円 自社株買いにより達成
  5. 一株当たりの利益(ROE)が増えれば株価は上昇しやすい
  6. 自社株買いは自己資本を減らすことになるためROEの上昇理由
  7. 手元現金は自社株買いにより減少するため財務悪化のリスクがある
アベノミクスは、日本企業の利益が過去最高益になる企業が続出しており、株価が倍以上になった企業が続出しました。投資家は、日本企業の利益還元に注目しており、ROEが投資の一つの指標として注目を増しています。

一株当たりの利益(ROE)は、利益を増やすことにより上昇可能ですが、自社株買いを行っても達成が可能になります。株主は、経営者が不確実な投資をすることを選ぶのか、確実な自社株買いや配当による還元のどちらかを選択することが重要になります。

日本企業は、海外企業のM&Aを熱心に行っていますが、例えばNTTドコモは1兆円以上の損失を計上して失敗しました。自社株買いは、現金減少や新規借入により財務悪化のリスクになりますが、株主の利益を増やすための確実な手法になっていますね。
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(2)株式と借金は資本コストが異なる

  1. 企業の借入コストは1%程度になっている
  2. 企業の資本コストは5%から7%になっている
  3. WACC加重平均資本コストとは借入と資本を合わせた資金調達コスト
  4. 資本コストが5%であれば配当と利益を合わせて5%の利益が求められる
  5. 日本企業は資本コストがゼロであると勘違いしている会社は株主還元が少ない
企業の資金調達は、株式と借入の2種類を活用しており、それぞれの調達コストは異なります。借入や社債は、日銀の金融緩和によって金利低下が続いており、上場企業であれば1%前後の資金調達を行っていますね。

資本コストは、日本企業5%やアメリカ企業7%と言われており、株主に対して成果を還元する必要に迫られてきました。投資する価値のない会社は、1%程度の配当金でお茶を濁しているだけでなく、よく分からない投資失敗により増資を繰り返しています。

日本企業は、経営者が株主還元にやる気がないため、増配や自社株買いをしない会社が多くありますね。アメリカ企業は、毎年の増配や自社株買いを継続的に行っており、株主の資産を増やすことに成功していますね。

(3)フィリップモリスは自社株買いで債務超過になっている

  1. アメリカ企業は配当金の増配を継続している
  2. たばこ業界は配当など株主還元に積極的である
  3. アルトリアの配当利回りは4%前後の高い水準である
  4. アルトリアは自社株買いによりROEは100%を超えている
  5. フィリップモリスの配当利回りは株価低迷により5%前後の高い水準である
  6. フィリップモリスは自社株買いによりROEが算出不能な水準に上昇している
  7. フィリップモリスは自社株買いを借入により調達しており債務超過の水準になっている
たばこ業界は、株主還元に積極的な業界になっており、利益の80%前後を株主に還元している会社もあります。たばこ会社の破綻リスク 規制で儲かる理由をまとめましたが、高配当と自社株買いの継続は、投資家に対して莫大な利益をもたらしていますね。

アルトリアやフィリップモリスの投資家は、アメリカのDRIPにより無税の配当再投資を行うことにより、株数を幾何級数的に増やすことに成功しています。アルトリアは、たばこ訴訟による倒産リスクが懸念されて株価が低迷したときに、増配を継続したため配当利回りは9%以上の高水準になっていました。

たばこ会社の決算比較 経営戦略の違いを見れば、アメリカ企業と日本企業の資本政策は、大きく違うことが分かりやすいでしょう。アメリカ企業は、自社株買いに借金を使っていますが、流通株数を減らすことにより安定的な株主還元を継続しているということですね。

(4)連続増配銘柄は自社株買いの方が資本コストを低下させることができる

  1. 社債の調達金利3%と仮定
  2. 株式の配当利回りは7%成長を仮定
  3. 1年目の株式配当利回り5% 毎年7%ずつ増配
  4. 2年目の株式配当利回り5.35%が1年目から7%増配
  5. 3年目の株式配当利回り5.72%が2年目から7%増配
  6. 4年目の株式配当利回り6.13%が3年目から7%増配
  7. 5年目の株式配当利回り6.55%が4年目から7%成長
  8. 増配に積極的な企業は自社株買いをした方が資本コストは低下する
フィリップモリスの自社株買いは、金庫株を財務諸表から除けば、債務超過になっていることを説明しました。アメリカ企業は、株主還元を重視していると言われていますが、借入による自社株買いをやり過ぎているように感じるでしょう。

フィリップモリスの経営者の立場になれば、自社株買いに借金を使う理由は、資金の調達コストを考えれば分かりやすいですね。グローバル企業は、世界中の社債市場から資金調達をすることができるため、社債の調達コストは3%程度と仮定します。

配当と社債利息を比較すれば、株式は毎年配当利回りが増えるのに対して、社債は償還するまで利息が一定のものが多いです。アメリカ企業は、株主に対して増配を約束している会社が多いため、自社株買いをすることにより資金調達コストが減るということですね。

(5)自社株買いの注意点

  1. 商品は他社が代替しにくい
  2. ブランド力があるため値上げしても人気がある
  3. 企業は借入を増やしても安定した利益がある
  4. 企業は時価総額を増やして買収に活用できる
  5. 企業は成熟市場のため株主還元を優先している
株式と借金は、資金調達コストを比較したときに、株式の方が調達コストは高くなることをまとめました。自社株買いに借金を使うことは、企業価値を高めるために不可欠な経営判断ですが、財務悪化により倒産リスクを高めることに繋がります。

たばこ会社は、自社株買いや増配などの株主還元に積極的な業界であり、ROEを高め続けてきました。たばこ業界は、消費者が代替する選択肢がないだけでなく、メビウスやマルボロなどの特定ブランドは値上げしても人気が続いています。

たばこ会社は、割安株として株主還元の恩恵が大きいだけでなく、ブランド保有と政府規制により自社株買いに借金を使っても問題ないということですね。借金の多い会社は、倒産リスクがあるため投資しないという選択肢もありますが、株主還元に積極的な会社もあるため注目されています。
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