オリンパス子会社倒産 休眠会社を監査法人が見抜けず

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 オリンパスが、粉飾決算に用いた子会社が倒産した事を、帝国データバンクが発表しており、休眠会社が含まれている事が明らかとなっています。オリンパスが公表している、子会社3社の財務状況を見ても、700億円以上の買収金額は過大であり、監査法人の限界を理解する必要がありますね。


(1)オリンパス粉飾決算の舞台

オリンパス粉飾決算と飛ばしFBI逮捕報道をまとめましたが、オリンパス粉飾決算の捜査が続いています。オリンパスの粉飾決算は、ファンドなどがケイマン諸島を舞台としており、監査法人の調査能力では限界があったのでしょうね。

オリンパス子会社の特別清算を帝国データバンクが発表しており、オリンパスの粉飾決算の舞台となった企業を、株式会社アルティスなど2社特別清算開始決定受ける負債109億993万円として報じています。

冒頭、国内3社となっているが、そのうちの2社が今回の特別清算で対象となっています。もう一社は、ヒューマラボという会社であると、オリンパスが発表しており、会社概要に特徴的な点があるので、その内容を見てみましょう。
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(2)特別清算の開始決定

「東京」 (株)アルティス(資本金4億8793万円、港区麻布台1-11-9、代表清算人三村藤明弁護士<港区虎ノ門4-3-13、電話03-6721-3111>)と、NEWS CHEF(株)(資本金4億9850万円、同所、同代表清算人)の2社は、11月27日に東京地裁へ特別清算を申請し、12月13日に特別清算開始決定を受けた。(帝国データバンク)
オリンパスの子会社2社が、特別清算をすでに申請しており、特別清算開始決定を受けていますね。オリンパスの子会社は、粉飾決算を行うための踏み台としての役割が中心となっていましたので、粉飾が表沙汰になり清算を進めているので、必要が無くなったということですね。

(3)-1株式会社アルティス

(株)アルティスは、1993年(平成5年)4月の設立後、休眠期間を経て2005年10月に病院等から排出される感染性プラスチック製廃棄物のリサイクルを目的に事業を再開した。(帝国データバンク)
その後、2008年3月にオリンパス(株)(東証1部)が当社を買収し、同社の子会社となっていた。(帝国データバンク)
医療機関を得意先に、注射器類、カテーテル類などを収集運搬し、最終的にプラスチック固形物に加工。食品加工業者向けに熱分解式油化プラントの製造も手がけ、2011年3月期には年収入高約1億6400万円を計上していた。(帝国データバンク)
オリンパスが粉飾を目的として活用した、会社の概要は上記の通りになります。オリンパスの子会社に休眠期間のある会社が含まれていますが、監査法人が見落としたのか気になります。

オリンパスは日本を代表する企業ですので、子会社は多いと思いますが、新たにM&Aを行った会社は初回にどのような監査を行っているのか気になりますね。オリンパスの子会社倒産について、帝国データバンクの報道を簡単にまとめると、下記のようになります。

(3)-2アルティスの年表

  • 1993年(平成5年)4月の設立
  • 休眠期間
  • 2005年10月に事業を再開
  • 2008年3月にオリンパス(株)(東証1部)が買収
  • 2011年3月期には年収入高約1億6400万円を計上
  • 11月9日に解散
  • 負債は解散時点で約45億1892万円
オリンパスの子会社アルティスで驚いたことは、休眠期間があることですね。オリンパスが買収決定を行うまでの機関を見ると、事業再開から2年半で買収決定の決断を行っていることが分かりますね。

オリンパスが買収を行った、NEWS CHEFについて会社概要を見ると、アルティスと同様に休眠期間があることが分かります。オリンパスの旧経営陣が粉飾決算を行うにあたって、休眠会社を踏み台にした可能性が高いですね。

(4)-1NEWS CHEF株式会社

NEWS CHEF(株)は、1991年(平成3年)8月の設立後、休眠期間を経て、2003年8月に事業を再開。 
2008年3月にオリンパス(株)が筆頭株主となり、電子レンジ用調理容器「NEWS CHEF」の販売、同器具を使用したコンサルティングを目的に事業を展開、2011年3月期は年売上高約5億2900万円を計上していた。 (帝国データバンク)
オリンパスが粉飾を目的として活用した、会社の概要を見ると上記の通りになります。オリンパス子会社で、管理人が気になったのは休眠期間があることですね。

NEWS CHEFは、事業再開から4年半でオリンパスが筆頭株主となっています。日本を代表する一流企業のオリンパスが、株式保有する規模なのか、結果論ですが振り返ると疑問ですね。帝国データバンクの報道を簡単にまとめると、下記のようになりますので見てみましょう。

(4)-2NEWS CHEFの年表

  • 1991年(平成3年)8月の設立
  • 休眠期間
  • 2003年8月に事業を再開
  • 2008年3月にオリンパス(株)(東証1部)が筆頭株主
  • 2011年3月期には年収入高約5億2900万円を計上
  • 9月27日に解散
  • 負債は解散時点で約63億9101万円
NEWS CHEFの会社概要をまとめると、休眠期間があることに気付きますね、オリンパスは休眠期間のある会社をグループ会社としていますが、休眠期間を設けることで、どういったメリットがでるのか簡単に考えて見ましょう。

(5)オリンパス子会社に休眠期間がある

企業の信頼性を見る指標の一つに、会社設立からの年数を見るというものがありますね。企業への信頼はすぐに生まれるものではなく、会社を維持運営する事は非常に難しいため、管理人の考えであるが、以下のように見る事が可能であると考えます。
  • 企業取引が続いていることは、経営者に一定の経営能力がある
  • 企業取引が続いていることは、会社に一定の取引先の信用がある
帝国データバンクの報道だけでは、休眠期間はよく分からないですね。しかし、休眠期間があることにより、会社設立からの年数を長いと、十分な調査を行わない相手であれば誤魔化す事は可能ですね。

企業活動が続いており、一定の信頼できる会社であると、オリンパスの投資家が勘違いした可能性は少し気になります。オリンパスが購入した会社ですが、どういった人物が保有していた会社で、休眠させていた目的が、信用のためなのか追跡を行いにくくすることであったのか未だによく分かりません。

(6)大手監査法人が休眠会社をチェックできず

改めて、振り返って見ると、監査法人がこういった状態に対して、問題ないとしてきた事に驚きを感じますね。監査法人の公認会計士は激務と言われていますので、上場企業をチェックする機能は、子会社に対して事実上、限界があるのでしょうね。

日本を代表する企業である、総合商社などを例として考えると、多数の子会社やグループ会社が日本にありますが、世界中に子会社や現地法人があります。担当の監査法人が物理的に不可能であることは、容易に想像がつきますね。

オリンパスが買収した会社を振り返ると、休眠期間があり高額の買収になりますので、オリンパスグループの傘下に入った後の初回の決算で、どういった信用照会が行われていたのか着になりますね。オリンパスの監査を担当していた大手監査法人だけでなく、日本の会計監査に限界があることが露呈したと言えそうですね。

(7)子会社の財務状況

オリンパスは子会社の解散についてのお知らせで業績についてで財務状況について、発表していますのでその内容について見てみましょう。財務状況や業績を見ると、赤字が大幅に拡大しており、異常事態が発生していることが分かります。

オリンパスの子会社は、債務超過の規模が拡大していると同時に、当期純損失の拡大が継続しています。オリンパスは日本を代表する一流の企業であり、高い技術力を保有していますが、財務面での負担が重いことが分かります。オリンパスが、この3社の清算を行わなかったのは、粉飾決算の踏み台にしていたからということなのでしょうね。

アルティス


NEWS CHEF


ヒューマラボ

アルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボの財務状況は、上記の通りです。債務超過や巨額の赤字が続いている事など、いろいろと注目すべきポイントはあるが、以下の2点に注目してみましょう。
  • 純資産がマイナスであり、債務超過
  • 債務超過の金額が毎年増加
  • 売上高と比較して、債務超過や損益が過大
オリンパスは、上記の3社に、2008年までに734億円を投じて買収していますが、売上高を見るだけでも過大な買収金額である可能性が浮き彫りになりますね。3社の経営成績と財務状況を見ても、旧経営陣が粉飾決算に利用する目的で、買収した可能性が高いと言えそうです。

(8)監査法人の責任

オリンパス粉飾子会社のヒューマラボを特別清算を見ると、旧経営陣による粉飾決算の発覚後に、会社清算が進んでいるようですね。監査法人側にも人手が足りない中で、多数の企業を監査する社会的な責任があることや、相手先企業からの協力が得られなかったなど、会計のプロから見た視点はあると思います。

しかし、オリンパス子会社倒産の事例を見ると、休眠会社を監査法人が見抜けなかった可能性や、買収した企業の財務が悪すぎることが気になります。オリンパス子会社が倒産したと知った後ですので、結果論であると言われればそうかもしれないですが、それでも気になるところです。

オリンパスは経営再建に向けてソニーと提携しましたが、ソニー オリンパス合併会社延期の理由を見ると、中国の合併審査の遅れにより、再延期になっていますね。オリンパス事件 粉飾決算の報酬は追及されていますが、監査法人に責任があるのかどうかは何も追及されておらず、上場企業の監査は限界があると分かりますね。

オリンパスは旧経営陣の退任後、新しい経営陣の下でソニーと提携を行うと同時に、公募増資に成功したことで財務の健全性を取り戻しています。オリンパスは日本を代表する一流企業ですので、医療分野など正々堂々と世界の企業と勝負して、医療現場を中心に現代社会の水準を向上させて欲しいですね。
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